【浜田山の家】住宅建築 2008年 09月号 掲載





今回の計画は 年前に建てた両親の家に アトリエと自邸を増築する形式の建築である。
敷地は私鉄の小さな駅から歩いて数分のところにあり、向かいには大きな赤松が残る緑豊かで閑静な住宅地にある。そのような住宅地にアトリエのある自邸を建てることで、街に対して何ができるのであろう。

街に開くこと
住居専用地域である住宅地は街に対して閉鎖的なたたずまいの建物が多く、街路と住宅が切り離されている。
そのような街並みに対し、アトリエを開くことで街を活性化したい。
そして、街を歩く人とアトリエ で働く人の目が何げなく合うような、歩いて楽しい街をつくり出せればと思う。

奥行きのあること
敷地形状の特徴を生かし前面道路から敷地の最奥部までが見え隠れしながら感じられるようにすること。
打ち合わせ室、中庭、ホールとその奥行きの深さが街路に広がりと豊かさをもたらす。

働く場所と住まいのこと
働く場所と住まいが一緒の建築において、それぞれの機能が混じり合うような共通の場所をつくること。
また、住宅地に働く場 所を混在させること。
そのように単一機能 が複合化し豊かに関係しあうことで場所自体が活性化し、おもしろくなるであろう。

流れのあること
壁の建て方、窓の開け方で動線や視線の流れをつくること。 
人を迎え入れる壁、空を切り取る中庭、向かいの大きな赤松を借景とする窓等、中庭の中心性と流れによって豊かな場所をつくっている。

(二宮晴夫/アトリエハル)